PCBとキースイッチを染めている話

adventar.org

この記事は キーボード #2 Advent Calendar 2019 の5日目の記事です。

 

こんばんは。染め太郎もといもぎら (@mogira_jubeat)です。

簡単に自己紹介をしておくと、主にキースイッチやPCBを染色している人です。

天下一キーボードわいわい会 Vol.3では、染色したキースイッチとPCBのカラーサンプル、この2つを組み合わせてGenesis2.5をカラフルにしたGenesis2.5(染)、あとは素 – Shiroをいい感じに染めたものなんかを展示していました。

(写真撮り忘れたのでぜりさんのツイート借りました)

染色に至った経緯と、染色のやり方、今まで得た知見なんかを書いてみようかと思います。

 

染色に至った経緯

ちょうどOutemuスイッチパーツ(10個) | 遊舎工房が販売開始になった頃で、Ice Blueを遊舎工房で見て「すごい綺麗だなー、こんなの使って組んでみたいなー」と思っていました。
そこに店員さんが来て「キースイッチはバネだけじゃなくて、軸やハウジングも交換して楽しめるんですよ~」と、とんでもない沼に引きずり込んでくれました。
おかげさまで、『キースイッチはそのままの組み合わせで使わなきゃ!』という意識が消えてなくなりました。

また、ちょうどこの頃キースイッチ染色やPCB染色にトライした先人がいました。私はそのうちの一人のキーボードで沼にハマったので「へー基板もスイッチも好きな色に染められるんだー」と、染色をかなりハードルの低い行為として捉えていました。

こういった沼人先人たちの洗脳知見の共有によって、「キースイッチもPCBも気に入った色がなければ好きに染めて作ればいいし、好きなように組み合わせて作ればいい」と思えるようになりました。

この後Genesis2.5というキーボードに出会って「この綺麗なキーボードを虹色に染めなくては!」という衝動に駆られ、カラーサンプルの作成など、色々研究がスタートした感じです。

 

染色のやり方

とても 簡単です。

  1. 樹脂用染料SDNという染料を、水と1:20の割合で混ぜる
  2. 温めて70±10℃の温度に保ちつつ、物を投入する
  3. 色ムラにならないように、時々引き上げて色を見ながらぐるぐる混ぜ続ける
  4. 良き色になったら引き上げて、水で流す→中性洗剤で洗う→水で流す→よく乾かす

以上です。ケミカルな臭いが結構すごいので要換気です。廃液の処理も必要ですし、変なところに付着すると厄介です。詳しくはこの辺のページを参考にしてください。

染色をやるに当たって私は器具を一切持っていなかったので、そのときまとめて揃えたものを以下に置いておきます。

※別にビーカーである必要はないですし、アルコールランプを使う必要もないです。趣味です。
※ビーカーはたくさんあると、色を混ぜたりするときにストックできて嬉しいです。
※5mlくらい計れる小型の注射器があると、染料をダバァすることなくきっちり計れて嬉しいです。

私は、キースイッチ数個程度なら染料2.5ml:水50mlくらいで作ってます。

染色が難しいということは特にないと思います。手間がかかるだけです。

 

染色の注意事項

  • やってる最中と成果物のケミカルな臭いがやばいです。
    成果物は扇風機に当てるか、風通しのいい場所に一日くらい放置しておくと多少マシになります。
  • 染色キースイッチは、ピンが抜けやすくなります。
    • ソケットに挿そうとすると、ピンが抜けてしまうことが多いです。
      ソケットに挿す場合はピンセットでピンを押し込む必要があります(地獄)。
      一度ソケットから抜いたらまた押し込み直す必要があります(無間地獄)。
    • 普通にはんだ付けする場合は、限界まで引き出した状態ではんだ付けしましょう。
  • 染色PCBは熱に弱い?っぽいです。
    • フラックスが沸騰するのに巻き込まれたりすると色がハゲます。表面実装の部品周りは要注意です。
    • フラックスクリーナーを使うと色が落ちますが、こっちはフラックス沸騰ほど目に見えて色が落ちるわけではなく、周囲に色が移るから注意してねという程度です。
  • 染色による品質への影響は未知数です。
    一応素 – Shiroの組み立て時に動作確認はしているのですが、品質に影響はないのか?長期的に見てどうか?と言われると、何も分からんというのが正直なところです。


染色について

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  • 染めた後に異なる色で染めると、先に染めた色が結構落ちます。これを利用することで、良い色が作れることがあります。
    • 薄い色→濃い色とすると、薄い色が落ちつつ濃い色が入ってしまうので、濃い色単色とあまり変化がないです。(例:空→緑)
    • 濃い色→薄い色とすることで、濃い色が少し落ちた状態で薄い色が新たに入るので、いい感じに色が加算できます(例:紫→空or桃)
  • 事前に混ぜた染色液で染めるのと、濃い色→薄い色は同じような色になります。(例:空+緑と緑→空)
  • 同じ色で二度染めても、濃くなったりはしない?(これは試行回数が少ないので不確かな情報です)
    一度橙色で2度染め実験してみたのですが同じ色のままでした。機会があればまたやってみます。
  • シルクは染まりません。
    マット黒シルクで全体に模様を書いた基板だと、マット黒シルクの質感に引きずられて全体がマットな印象になります。冒頭の素の画像がまさにそれなのですが、個人的にとても気に入った染色の仕方です。
  • キースイッチはものによって、染まり方が異なります(素材が違う?)。
    私が確認した限りだと、Outemuのトップ(Clear)とベース?(Ice Blue)はほとんど色が入らない、Blue Zilent v2とR2 KBDfans T1は染まりやすい、Kailh Box(Crystal)は染まるがZilentより色が薄めになる、みたいな傾向が見られました。
  • キースイッチとPCBは当然ですが染まるまでの時間が異なります。
    キースイッチは数十秒~2-3分程度で十分ですが、PCBは数分~十分くらい煮ます。一緒に染める場合は、キースイッチから目を離さない方が良いです。

 

画像とか

以下のモーメントにまとめています!最近更新していないので新しい色とかは載っていないですが、後ほど追加します!

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終わりに

ちょっと駆け足でしたがいかがだったでしょうか?染色やってみたくなりましたか?

個人的に「そういえば誰かやってたしやってみるか」みたいに心理的なハードルを引き下げるのってすごい重要なことだと思っているので、今回私がその役割を果たせたらいいなと思って天キーやらアドベントカレンダーやら参加してみました。

また、天キーでは色んな人に実物を見てもらえたので、可能性を感じた誰かの背中を押して沼に落としてあげられたらいいなと思います。

ただ、注意事項で書いたように、染色による品質への影響が未知数なので、私個人としては染色したものをboothなどで売ったりする気は今のところないです。そういうことをきちんと説明することができる場(フリマとか)での譲渡や売買、個人的に依頼されるのはありかなとは思っています。というか自分で染めてください。

あとはモーメントの更新だけなのでとりあえず記事は公開します!ダッシュで追加します!

以来スイッチはそのまま使わなくてはいけないみたいな意識がどこかに行ってしまいました。また、何人かキースイッチ染色にトライした人がいたので9672892315197440?s=20https://twitter.com/mogira_jubeat/status/1129672892315197440?s=20https://twitter.com/mogira_jubeat/status/1129672892315197440?s=20